はじめに
投資信託やETFの中には、「毎月分配型」と呼ばれるタイプがあります。これはその名の通り、毎月分配金が支払われる仕組みのもので、一見すると“毎月お金がもらえるお得な商品”のように感じられます。
実際、安定した収入を求めている人や、年金以外の生活費を補いたいシニア世代などに人気があるタイプです。
しかし、その実態をしっかり理解していないと、資産を減らす原因になってしまうこともあります。
この記事では、毎月分配型ETF・投資信託のメリットとデメリットを整理し、「どんな人に向いているか?」についても解説していきます。
メリット
1. 毎月のキャッシュフローが得られる
最大のメリットは、毎月安定的な分配金が得られることです。
給与のように定期的な収入があると、生活設計がしやすくなり、心理的にも安心感が生まれます。
特に、働いていない方や年金生活者にとっては、毎月の「おこづかい」感覚で利用しやすいのが特徴です。
2. 資産を自動的に取り崩す仕組みとして使える
毎月分配型は、資産の一部を定期的に取り崩すようなイメージで使うこともできます。
老後の生活費として少しずつ使いたい人にとっては、自分で売却のタイミングを考えなくてもよいという利便性があります。
3. 分配頻度が高いため収入のタイミングが細かくなる
年1回や年2回の分配型に比べて、毎月分配型は分配頻度が高いため、家計管理や生活費の調整がしやすくなります。
こまめに資金を受け取れる点は、他の投資商品と差別化されるポイントです。
デメリット
1. 複利効果が得られにくい
分配金を受け取ると、その分が再投資されずに手元に入ってきます。
つまり、お金を“増やすために再投資する”という複利の力を最大限に活かすことができません。
長期的に資産を増やしたい人にとっては、これは大きなデメリットになります。
2. 元本が削られている可能性がある
毎月安定的に分配金が出ているように見えても、その中身は必ずしも運用益とは限りません。
場合によっては、自分が投資した元本の一部が戻ってきているだけということもあります。
つまり、“見せかけの収益”になっているケースもあり、注意が必要です。
3. 税金の負担が増えやすい
分配金を受け取るたびに税金が発生します。
再投資型であれば課税を先延ばしにできますが、毎月分配型では毎月課税が発生するため、トータルで見ると税負担が増える傾向があります。
節税を意識した投資をしたい方にとっては、少し効率の悪い運用方法とも言えるでしょう。
4. 手数料や運用コストが高めな商品もある
毎月分配型の商品には、運用コスト(信託報酬)が高めに設定されているものが多く見られます。
分配のための事務作業や調整が頻繁に行われる分、コストがかかってしまうのです。
特に長期間にわたって投資する場合は、こうしたコストの影響が大きくなります。
5. 新NISAでは対象外となるケースがある
2024年から始まった新しいNISA制度では、毎月分配型の投資信託が非対象となっているケースが多く見られます。
非課税メリットを最大限に活用したい人にとっては、大きなハンデになるでしょう。
向いている人・向いていない人
向いている人
- 毎月の副収入を得たい人
- 老後の生活資金として定期的に使いたい人
- 複利ではなく現金収入を重視する人
向いていない人
- 長期的に資産を増やしたい人
- NISAなどの税制優遇を活かしたい人
- 複利効果を重視したい人
まとめ
毎月分配型ETFや投資信託は、「安定した収入を得たい」「毎月お金が欲しい」というニーズに合った投資商品です。
一方で、資産を増やす目的や、税金・コストを重視する長期投資家には不向きな側面もあります。
投資に正解はありませんが、重要なのは「自分の目的に合った商品を選ぶこと」です。
毎月分配型が“良いか悪いか”ではなく、自分にとって必要かどうかを見極めて活用していきましょう。