資産運用を始めるとき、多くの人が「ETF」と「投資信託(ファンド)」のどちらを選ぶかで悩みます。どちらも複数の銘柄に分散投資できる金融商品ですが、仕組みや運用方法には明確な違いがあります。
本記事では、特に「国内ETF」と「日本国内で販売されている投資信託」の違いに焦点を当て、初心者にもわかりやすく解説します。
そもそもETFと投資信託の共通点
- どちらもプロが運用する「投資信託」である
- 1本で複数の銘柄に分散投資が可能
- NISAやiDeCoでも利用できる商品が多い
一見すると非常に似た商品ですが、「購入方法」「価格の決まり方」「コスト構造」などに違いがあります。
違い①:購入・売却の方法
項目 | 国内ETF | 投資信託 |
---|---|---|
購入場所 | 証券取引所(株式と同じ) | 証券会社・銀行・ネット証券など |
売買方法 | リアルタイムで市場価格にて売買 | 1日1回、基準価額で売買 |
注文タイミング | 市場が開いている時間中いつでも | いつでも注文できるが価格は翌日決定 |
違い②:価格の決まり方
ETFは株式と同じように、需要と供給によってリアルタイムで価格(市場価格)が変動します。これに対して、投資信託は「基準価額」と呼ばれる価格が1日1回計算され、それに基づいて取引が行われます。
違い③:取引コスト
- ETF:購入時に売買手数料(証券会社による)、保有中は信託報酬が発生
- 投資信託:購入時の販売手数料(0〜3%)、保有中の信託報酬、場合によっては信託財産留保額
最近は、ノーロード(販売手数料なし)&低コストなインデックスファンドも多く、投資信託でもかなり手数料が抑えられるようになりました。
違い④:分配金の有無と再投資
- ETF:基本的に分配金あり。自動再投資はされないため、自分で再投資が必要。
- 投資信託:「再投資型」を選べば自動で分配金が再投資される。
違い⑤:積立投資のしやすさ
ETFは原則「株式と同じ扱い」のため、1口単位での買付になり、積立投資にはやや不便な面があります。対して、投資信託は100円単位から自動積立ができ、つみたてNISAとの相性も良好です。
それぞれのメリット・デメリット
国内ETFのメリット
- リアルタイム売買で自由度が高い
- インデックス投資の信託報酬が低め
- 株式のように板情報を見ながら取引できる
国内ETFのデメリット
- 分配金の自動再投資ができない
- 積立しづらい(1口単位)
- 銘柄によっては流動性が低い
投資信託のメリット
- 100円から積立投資が可能
- 自動で分配金再投資ができる
- 多くの商品がつみたてNISA対象
投資信託のデメリット
- 価格がリアルタイムでない
- 中には高コスト商品もある
まとめ
国内ETFと投資信託は、どちらも長期的な資産形成に向いている優れた金融商品です。
リアルタイム売買や低コストを重視するならETF、自動積立や手軽さを求めるなら投資信託が向いています。自分の投資スタイルに合った商品を選ぶことで、効率的かつ継続的に資産を増やしていくことができます。
目的や運用スタイルに応じて、ETFと投資信託を組み合わせるのも効果的です。